112.上を覆う、越えるを表す前置詞 over
さて次はoverです。
複雑な前置詞の山は越えたので、気楽に行きましょう。
overの基本イメージは「上を覆う、越える」です。
これは絵で説明するのが一番分かりやすいかもしれません。
overの基本
overの基本的なイメージを使った文を紹介しましょう。
He jumped over a big stone.
(彼は大きな石を飛び越えた)
大きな石を飛び「越える」、その軌道はまさに「覆う」イメージです。
She put the blanket over her knees.
( 彼女は毛布を膝にかけた)
これは膝に毛布を「覆う」イメージですね。
このイメージが、overの基本中の基本イメージです。
overの広がり
1.「~しながら」
Shall we talk over a cup of coffee?
(コーヒーでも飲みながら話しましょうか)
これも絵で考えるととっても分かりやすいです。
コーヒーを挟んで、二人が会話しているイメージをすると「覆う、飛び越える」のoverが納得できると思います。
2.~以上
I’m over 30.
(私は30を越えています)
30を飛び越える、ようなイメージだとしっくり来ますね。
3.終わる
The war is over.
(戦争は終わった)
ゲームオーバーなどのように、「終わり」の意味でもoverはよく使われます。
この場合はある事象を「飛び越えた」先に終わりがあるというイメージですね。
4.倒れる
The big tree fell over because of the tyhoon.
(台風で大きな木が倒れた)
倒れる、という場合にもoverがよく使われます。
これも倒れてくる軌道を考えると、非常に納得が行くと思います。
5.回る
倒れる、のイメージが連続して起こると「回る」のイメージにつながります。
My son often rolls over.
(私の息子はよく寝返りをうつ)
6.調べる、吟味する
くるくる対象物を回すイメージから、対象物を調べるイメージにも使われます。
Please look over this document.
(この書類に目を通して置いてください)
7.全体
I want to travel all over the world.
(私は世界中を旅したい)
世界を覆う、イメージですね。
aboveとの違い
overもaboveも日本語訳では「~の上に」と訳されることが多いので少し紛らわしいのですが、これはイメージから考えると非常に分かりやすいと思います。
支配の領域が違うのですね。
A pendent lamp is hanging over the dining table.
(ランプがダイニングテーブルの上に下がっている)
The picture is hanged above the fireplace.
(その絵は暖炉の上にかかっている)
overは、あるものを覆うイメージですから、カバー領域が広いものに使われます。ランプは照らす範囲が広いのでoverなのですね。
一方aboveは、あるものよりも上にある、という位置関係だけ示すので、そこに支配領域などの認識はありません。
こう考えると、aboveとoverの使い分けも分かりやすいのではないかと思います。