50.不定詞と動名詞の使い分け1
さて、前回「動名詞」を勉強しました。
動詞を名詞化するために「ing」をつけるだけです。
「~すること」と訳します。
日本語でも違和感がないので、覚えやすいと思います。
さて、では今回は「不定詞と動名詞の使い分け」pan>についてお話します。
ここからは、今までの知識を覆す場合もありますが、驚かずに聞いてくださいね。
◇不定詞の名詞的用法=動名詞ではない!!!
いきなり、皆さんが中学で習ったことを覆してしまうかもしれませんが、とにかく読んでみてください。
前回出てきた例文を見てみましょう。
I like playing the piano.
I like to play the piano.
“ like ”は、不定詞も動名詞も使うことができます。
おそらく、中学のテストで「書き換え問題」なんかも経験していると思います。
確かに「似た意味」ではあります。
しかし、「同じではありません!!」
そもそも「不定詞」=「動名詞」ならば、どっちかに統一すればよい話ですし、不定詞しか取らない動詞や、動名詞しか取らない動詞があるのもおかしい、ということになります。
◇不定詞は未来、動名詞は過去
その理由は、不定詞と動名詞の意味合い(ニュアンス)の違いにあります。
たぶん中学でも高校でも習わなかったと思いますがここで目からウロコを落としてください。
「不定詞は、未来のことを表す」
↑
↓
「動名詞は、過去、反復、中断を表す」
似たような使い方ですが、だからこそ意味合いが対極なのです。
ですから、最初の例文
A.I like playing the piano.
B.I like to play the piano.
どちらも「私はピアノを弾くのが好きだ」なのですが、Aは「動名詞」ですからピアノを実際に弾いていて(過去)、弾くのを楽しんでいるイメージ
Bは「不定詞」ですからピアノは実際に弾くというより、これから弾いてみようかな、興味がある程度のニュアンスで「ピアノを弾くのがすき」といっているので、若干不自然な文になります。
ですから、“ like ”は動名詞も不定詞も取りますが、ピアノを弾いていて、弾くのが好きな場合はI like playing the piano.のほうが自然な文だということです。
もうひとつ例文です。
A.He tried writing a book.
B.He tried to write a book.
“ try ”も不定詞、動名詞どちらも取れますが、両者でかなり意味が違ってきます。
一見、どちらも「彼は本を書こうとしている」と読めますが、Aは動名詞ですから「すでにしていること、過去のこと」を表し「実際に本を書いている最中(チャレンジ中)」ということです。
Bは不定詞ですから「さあ、本でも書いてみようかな」という段階です。
必死にセコセコ書いている真っ最中ではないのです。
こうなってくると、意味がかなり違いますね。
さて、今度は意味が全く変わってしまうパターンです。
A.I forgot meeting him.
B.I forgot to meet him.
Aは動名詞ですから「過去のこと」を表します。
ですから「私は彼に会ったことを忘れた」となります。
Bは不定詞ですから「未来のこと」を表します。
ですから「私は彼に会うこと(アポイント)を忘れた」となります。
動名詞と不定詞の違いがハッキリ出ていますね。
もうひとついきましょう。
これはちょっと異色です。
A.I stopped reading the book.
B.I stopped to read the book.
Aは動名詞ですから「過去のこと、実際にしていること」
「私は本を読むことをやめた」となります。
Bは不定詞ですから「未来のこと、これからすること」を表します。
そして、ここでの“ stop ”は「自動詞」で「立ち止まる」という意味なので目的語を取りません。
ですからこの場合は不定詞が副詞の役割になり「私は本を読むために立ち止まった」となります。
不定詞と動名詞が「似て非なるもの」ということは分かっていただけましたか?
では次回は、不定詞を取る動詞、動名詞を取る動詞をいくつか挙げていきましょう